2026年01月31日

随筆家の山本ふみこさんを講師に迎えて開催するハルメクの通信制エッセー講座。ハルメクeventsでは、参加者の提出作品の中から山本さんが選んだ作品を公開しています。
第11期1回目のテーマは「布団」。けらけらさんの作品「目覚めのルーティーン」と山本さんの講評です。
朝、眠りから覚めて枕元の時計を見る。
(そろっと起きないと……)
仕事がある日はしかたなく目覚まし時計をセットするが、休みの日は自然な目覚めに任せる。
(起きるかぁ)
そう思いつつ、布団の中でおもむろに体操を始める。
まずは首を動かす。後ろ頭を枕につけ仰向けで天井を見る。そして、あごをゆっくりと上下させて首の後ろを伸ばす。寝ている間に凝り固まった首と肩が少しずつ少しずつほぐれていく。
次に、両膝を両腕で抱えて胸のあたりまでぐうっと引き寄せる。その後、片膝ずつ同じように引き寄せながら、もう一方の足をまっすぐ伸ばす。それを左右交互にくり返すと、体がどんどん温かくなり、血の巡りが良くなっていくように感じる。
最後に、両腕で両膝を抱えてゆらゆら左右に揺らす。自然と腰が動き、その流れでゆっくり股関節を開いてヨガのバタフライポーズをとってみる。少しでも痛い時は無理をしない。
こんなふうに布団の中で首や足腰の体操をするようになったのは、起きがけのめまいに悩まされた時期があったからだ。
起き上がると室内がぐるぐる回って見え、壁につかまらないと立ち上がれなかった。安静にしていると症状は回復していくものの、毎朝起きるのが心配になった。
受診してみたが特効薬はなく、健康雑誌や人の話をヒントに、そろりそろりと体を動かしてから起きるようにしたところ、なぜだかめまいが起こらなくなった。
もう、何も考えずに起きる年齢ではないんだ。時間をかけて体を目覚めさせる必要があるんだと悟った。
「布団の中で何ごそごぞしているんだ?」
と言われるが、私にとって大事なルーティーンである。
(よし、起きるぞ)
ご自身をよく観察しておられますね。
エッセーを描く上で、観察は大事な鍵となります。
落ち着いて、観察しましょう。
そうしてつぎは、スケッチです。どんなふうにスケッチするかは書き手にまかされていますが、まっすぐに機嫌よくゆきましょう。けらけらさんは、「目覚めのルーティーン」をたのしく書かれたのではないでしょうか。そのことが伝わります。
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は講座の受講期間の半年間、毎月1回出されるテーマについて書き、講師の随筆家 山本ふみこさんから添削やアドバイスを受けられます。